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長くなりますが、「おっさんが女児を保護した話」を書きました。

ある休日のお昼、俺は自転車に乗ってラーメン屋に出掛けた。目的のラーメン屋に到着する前、2歳くらいの女児が一人でヨチヨチ歩いてるのを見かけた。(近くの家に住んでる子が歩道に出てきちゃったのかな?危ないな)と思ったが、まあすぐ親が出てきて家の中に連れ戻すだろうと思い、通り過ぎた。

ラーメンを食い終わり夕飯の買い出しにスーパーへ向かった。すると、先程見かけた女児が別の場所で一人で歩いている。4車線ある交通量の多い国道沿いの歩道だ。いよいよ迷子かな…と思ったが、まさかこの物騒なご時世にこんな小さな女の子を一人にする親がいるか…?という疑問のほうが強かった。

どうしようか迷ってると、自転車で通りかかった女性が女児に話しかけた。(よかった、これで保護されるだろう)と安堵した。女性が「一人でどうしたの?お母さんはどこ?」と尋ねると、女児は女性の顔を眺めているが、返事している気配がない。あろうことか女性は諦めてその場を立ち去ってしまった。

最初に女児を見つけた場所から200メートルは離れているだろうか。周囲を見回しても保護者らしき大人はいない。腹を括った。 女児から50メートルくらい離れた位置で見失わないよう目視した状態で110番通報した。

「はい警察です、事件ですか?」 「いえあの、2歳くらいの女の子が一人でヨチヨチ歩いていて周囲に親がいないです。おそらく迷子だと思います。交通量が多い場所なので危ないです。見失わないよう見張っているので、急いで来てくれますか?」 場所を説明した後、困ったことを言われた。

「今すぐ保護して下さい」 「ええ…(マジかよ勘弁してくれ…)」 「危ないから今すぐ保護して下さい」 「ですよね…わかりました」 通報したことをはやくも後悔し始める俺。

繰り返すがこんなご時世である。よかれと思って行動した結果、逆に通報されるなんてケースもあるだろう。だから俺は女児に声掛けず遠目から見守った状態で通報したのだ。それが最善の策であろう。しかしそれは警察には通用しなかった。

なんて声をかけよう?? 「お嬢ちゃん、一人?」 まずい…完全に変質者の声かけやないか… 落ち着け。まずは目線を合わせろ。しゃがむんだ。

目線を合わせ「お母さんとお父さんは?」 女児「クポー!キュピキュピジュピー!(何言ってるかわからないがゲラゲラ笑っている) 「お巡りさん、ダメです。幼すぎてまだ会話できないみたい」 「了解です。近くに入れる建物はありますか?」 目の前にドンキ的(以下ドンキとする)な店があった。

奔放な女児がドンキに向かって走って行く。 「あっ待って!」受話器片手に追いかける俺。 「ドンキの前にいます。ここで保護してるのでマジではやく来てください!」 「女の子と一緒に店の中に入りましょう。外は車とか危ないですし店内で待っててもらえますか」

(マジかよ…。人沢山おるやんけ。俺どうしたらええん??) 女児が俺の手を握りしめ店の中に入って行く…。 「お巡りさん、今一緒に店内入りました。あの、周囲の視線が痛いです。マジで早く来てください。あと手持ち無沙汰すぎてシンドイんで、通話したまま到着待っていいですか?」

「ああ…申し訳ないですが、切ってお待ち下さい。」 はぁ…。ここから地獄の時間が始まる。 とりあえず女児をケアするため会話で繋がなければ。

「今からお父さんお母さん迎えに来るからここで待ってようね。お家はどこなのかな?どっちの方から来た?」 …この会話が余計だった。 店内は客で溢れており、今の会話を聞いた親子連れが好奇の目で俺を見てコソコソ話している。 (ああこれ完全に変質者思われるパターンやないか)

(違うんです違うんです…保護しろって言われたんです) そのとき知らない番号からスマホに着信があった。ナイス!!誰でもいいから女児以外と会話して時間を潰したかった。

「◯◯さんのお電話ですか?」 さっきの警官だ。ナイス! 「そうです!」 「今向かってるんでもうすぐ着くはずです。もう少し頑張って下さい。では」 おい切るんじゃない!俺を一人にするな!!

周囲の視線がとにかく痛い。 「警察に連絡したからパパとママもう少しで来るからね~!」 警察に連絡したことを周囲にアピールすることで変質者ではないことをアピールする作戦。 泣きたかった。なんでこんなことに。お家帰りたい。

女児が俺のスマホに興味を示したようなのでスマホ渡した。 次の瞬間「キュピキュピジュピー!!!!」笑いながら俺のスマホを地面に叩き落とす女児。 泣きたかった(2回目

気づくと主婦らしき女性がこちらを見て微笑んでいる。 これは助け舟では?? 「この子迷子なんです!警察に通報したのでもうすぐ来ると思うんですけど…」 「あらら、そうなんですねぇ。お嬢ちゃんどっから来たのぉ?」 助かった…。もう一人じゃない。

「一人で歩いてるの見て通報したら保護して言われて…このご時世じゃないですか。逆に誘拐犯だと間違われたらどうしようかと思って…」 「そうですよねぇ大変でしたね。でも、お父さんと娘さんにしか見えませんでしたよww」 「ははは、そうですかw」

肩の荷が降りた。この人なら子供の扱い慣れてるし任せても大丈夫だろう。 「そろそろ警察来ると思うんで外に迎え行ってきます。子供見ててもらってもいいですか?」 「いいですよ~」 解放された。自由ってなんて素敵なんだ。

やがてパトカーが来た。4人も乗ってる。 「通報したものです。こっちです」 警察と一緒にドンキに入る。入り口付近に主婦に預けた女児がいるはずだった。ところが… いない…いないのだ…

嘘だろ… 目の前が真っ暗になった。 まさかあのいい人そうだった主婦が連れ去り…そんな… 通報した俺の責任で保護しておくべきだったのだ。最後、人任せにしてしまった。

「ここに女性と一緒に待っててもらってるはずだったんですけど…」 「女性と一緒なんですね?探しましょう」 青ざめた顔で探した。もし見つからなかったらどうしよう…虚偽の通報と疑われる可能性もあるな…。嫌な考えが脳裏を過ぎる。

一階にはいない様子。 二階に上ろうとしたところ女児と手を繋ぎ階段を降りてくる主婦が視界に入った。 よかった… 人の良さそうな主婦が連れ去りなんてするわけがない。 悪人なんていなかったのだ。

警察「お嬢ちゃん、お父さんとお母さんはどこかな?」 俺を指さす女児。 爆笑する主婦。 「おじたんパパじゃないんだよ~ 」 こうして迷子の女児は無事警察に保護され一件落着。

今回の教訓というか思ったことをいくつか。 まず最初に言いたいことは、色んな事情があるのだろうが、幼い子を持つ親御さんは、けして子供から目を離さないで欲しい。物騒な世の中、何があるかわかりません。

次に、女性は迷子らしき子を見つけたら積極的に声をかけて欲しい。善人ですら疑われる現代では、男性が一人で幼児を保護するのはベリーベリーハードルが高いです。今回は女性が一人声かけていたけど、諦めて立ち去ってしまった。責任持って警察に届けてあげてくれ頼む。

また、迷子を保護してるらしき人を見つけたら一緒に助けてあげて欲しい。見知らぬ大人と幼児の組み合わせは、他者から見たらそれが女性でも不審者に思われかねない。でも複数の人物が関われば助けた人の負担はめちゃくちゃ軽減されます。面倒でしょうが出来る限り、手を差し伸べてあげて欲しい。

通報するだけのはずが、まさか保護することになり正直だいぶしんどかったけど、同じような場面に遭遇したら、今度は周囲の人に助けを求め複数人で一緒に保護しようと思う。おそらくそれが最善の策。

この話を読んで、面倒くさいから自分は迷子を見つけてもスルーしようと思う人は多いと思う。でも、みんなキャンプ場で行方不明になった女の子に胸を痛めてるでしょう?

 

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